海外の銀行口座を保有するうえで、
「何が一番面倒に感じますか?」という質問に対して、最も多く返ってくる答えはダントツで【口座の凍結】です。
実際、口座の凍結についてはこれまでも何度もお伝えしてきました。しかしながら、どれほど注意喚起をしても一向に減らないという、不思議な状況が続いています。
そこで、あらためて凍結や休眠口座になってしまう原因について整理しておきましょう。
・24か月間、ATMカードまたはデビットカードで引出しをしていない
・24か月間、Time Depositを組んでいない
・24か月間、自口座から他口座へ送金をしていない ※1
・24か月間、株式またはファンドを保有していない ※2
・24か月間、通貨間の両替を行っていない ※3
※1⇒Wiseを使用して自口座へ送金しただけで回避できた事例有。
※2⇒購入はできなくなっているが、既に保有している分は継続可能。
※3⇒通貨の両替だけでは、凍結されてしまった事例がある。
ご覧いただいてお分かりのように、ポイントは「24か月」という期間です。
そして、HSBC も決して鬼ではありません。つまり、何も好き好んで口座を凍結したいわけではなく、むしろ「せっかく口座を持っているのだから、継続的に利用してくださいね」というメッセージを伝えているのです。
そのため、タイトルにもあるように凍結に至る前に、注意を促すレターを送ってくれるというわけです。
今回は、ご相談いただいた方から実際に HSBC から送付されたレターをご提供いただきましたので、ここでご紹介いたします。
そして翻訳した内容がこちら👇
お客様各位
すべてのお取引口座およびクレジットカードの非稼働状態に関する重要なお知らせ
口座番号/クレジットカード番号:戸口/信用カード番号
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
当行では、金融システムの健全性を維持するため、お客様の口座ならびにお取引関係について定期的な確認を実施しております。その一環として、長期間ご利用のない口座につきましては、お客様へ通知を差し上げております。
このたびの記録確認におきまして、お客様の上記口座および/またはクレジットカードが 22か月以上ご利用のない状態 にあることを確認いたしました。
今後の対応について
お客様におかれましては、下記のいずれかの取引を 2025年11月26日までに 対象口座またはクレジットカードにて実施くださいますようお願い申し上げます。
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お客様口座からの資金振替または引き出しを行うこと。
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当行ウェブサイト(www.hsbc.com.hk)より個人用インターネットバンキングへログインし、モバイルセキュリティキーまたはセキュリティデバイスを用いて口座を再有効化すること。なお、お電話によるお手続き(注1)または香港に所在する当行支店へのご来店によっても手続き可能でございます。
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クレジットカードによるお支払い、または利用取引を行うこと。
取引が確認できない場合について
上記期日までに対象口座またはクレジットカードにおける取引が確認できない場合、当行は以下の対応を取らせていただきます。
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お客様のすべての対象口座に対し、一時的な利用制限を適用いたします(注2)。
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お客様が保有されるクレジットカードがある場合には、当該カードを解約させていただきます(注3)。
これらは、不正利用や金融犯罪からお客様を保護するための措置でございます。
なお、上記期日以降も当行サービスをご利用希望の場合は、お客様情報の更新をお願い申し上げます。
注記
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注1: サービスに関するご支援が必要な場合は、当行カスタマーサービスホットラインまでご連絡ください。最新のホットライン番号は当行ウェブサイトにてご確認いただけます。
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注2: 一時的な制限には、出金、振替、その他の銀行サービスの利用制限が含まれる場合がございます。これらは口座が再有効化されるまで継続いたします。
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注3: クレジットカードが解約となった場合、当該カードのご利用はできなくなり、関連するサービスや特典もすべて終了いたします。
といった内容になっています。
丁寧に「2025年11月26日まで」と期日を明記してくれているのはありがたい点です。
この期日までに、上で挙げた6項目のうちいずれか一つを実行すれば、凍結は回避できるということになります。
しかし、引っ越しなどで住所が変わっている場合には注意が必要です。転送手続きを行っていれば半年間は問題ありませんが、そうでなければ HSBC の登録住所を変更していない限り、このレターは届きません。その結果、気付かないうちに凍結されていた、という事態になりかねません。ちなみに、以前はインターネットバンキング上で住所変更ができましたが、現在はスマホアプリか書類での変更しか受け付けていません。
さらに、本来であればこのレターが届く前に「22か月利用がありません」という注意の SMS が届くはずです。ところが、携帯番号を変更していた場合はもちろん届きませんし、番号が変わっていなくても、格安スマホへ乗り換えたことで海外からの SMS が受け取れないケースもあります。具体的には、有料オプションの契約が必要だったり、別途設定を変更しなければならなかったりするためです。したがって、「出費を抑えるために格安スマホへ切り替えた」という方は、必ず海外からの SMS が受信できるかどうかを事前にチェックしておくことが大切です。なお、携帯番号の変更については今でもインターネットバンキングから行うことが可能です。
今回ご連絡いただいた方も、実際には SMS が届いていませんでした。調べてみたところ、UQ モバイルへ乗り換えており、海外からの SMS を拒否する設定が有効になっていたため、解除していただきました。
HSBC からの SMS が受け取れないのは、口座維持にとって致命的な問題です。もちろん、激しいインフレが続く中で「削れる部分はすべて削る」という考え方は理解できます。ただし、キャリアを変更するときには「海外から SMS を受け取れるかどうか」を必ず確認することを忘れないでください。
「海外からのSMSを確実に受信したい」時に確認すべきポイント!
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ブロック設定
海外事業者ブロックや国際SMS拒否などの設定が初期で有効になっていないか。 -
契約タイプ/SIMの種類
音声通話 + SMS(デュアルタイプ)なのか、データ専用/SMS非対応タイプか。SMS受信・送信が付いていないタイプでは届かないことあり。 -
ローミング設定
SMS受信には国際ローミングや音声通話ローミングが関係することがあるので、その設定を契約・端末で有効にしておく。 -
キャリア/回線/プランの違い
同じキャリアでもプラン(ドコモ系/au系/ソフトバンク系など)や回線によって可否が変わる。
ちなみに、私は Docomo から楽天モバイルに乗り換えましたが、幸いにも問題なく SMS を受け取れているためにHSBCに関しては困ったことはありません。しかし一方で、YouTube や NETFLIX、Hulu といった動画再生がスムーズにできないのは、正直なところ大きな不満点です。
さて、もし「口座がすでに凍結されてしまった!」あるいは「今日の内容にあるレターが届いてしまった」というように、HSBC に関するお困りごとや不明点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
HSBC 銀行のサポートを行っている企業は数多く存在します。その中でも、私たちは最も多くの情報を提供できていると自負しております。なぜなら、過去にサポートをさせていただいたお客様から寄せられた貴重な情報と、弊社スタッフによる継続的な情報収集の積み重ねがあるからです。つまり、その両方の成果によって、他社にはない独自のサポート力を発揮できているのです。