
市場構造シリーズ 第3回
崩壊後も活況だった理由
バブルは弾けた。
だが、ディーリングルームはまだ静かに回っていた。
バブルが崩壊したと誰もが感じ、世の中は終わったような空気に包まれていた。
だがディーリングルームでは、誰も立ち止まらなかった。
時間になれば相場は始まり、板は流れ続け、株価は動き続ける。
価格は下がる。
だが、下がるということは「動いている」ということでもある。
ディーラーにとって重要なのは、上か下かではない。
値があるかどうかだ。
売りが殺到する。
投げが出る。
だが、その投げは必ずどこかで止まる。
そして、短い戻りが生まれる。
そのわずかな反発。
その数ティック。
そこに判断の余地がある。
崩壊後の相場は、方向性を失っていた。
だが、ボラティリティは失っていなかった。
相場が荒れると、恐怖が増す。
恐怖が増すと、参加者は早く逃げようとする。
逃げが逃げを呼び、値幅は広がる。
そこに“回転”が生まれる。
そして回転は、ディーラーにとっての酸素だった。
持ち続ける時代は終わった。
そして、刻む時代が始まった。
一瞬の遅れが損失になり、
一瞬の判断が利益になる。
崩壊後も活況だった理由。
それは楽観ではない。
強気でもない。
動きがあったからだ。
ただし、その裏側で別の変化が進んでいた。
金融機関は徐々に攻めを抑え、
組織としてのリスク管理を強め始める。
裁量はまだ生きていた。
だが、その自由度は確実に削られ始めていた。