マーケット情報
28年ぶり日米協調介入により一時155円台に
2026年7月31日(米国東部時間)、日本と米国は円買いの協調介入に踏み切りました。日米が通貨防衛のために手を組むのは、実に1998年6月以来28年ぶりのことです。東京市場ではドル円が一時155円台まで急落する場面もありました。今回は今回の動きの経緯と、その先にある課題について整理します。
何が起きたのか
片山さつき財務相は3日朝の会見で、7月31日(米国東部時間)に米財務省と協調して円買い介入を実施したことを明らかにし、「まさに無秩序な動きに対しては断固たる措置を取る。それは実行される」「さらなる協調介入を実施することも躊躇しない」と強調しました。米国のベセント財務長官も同時に談話を発表し、「円相場の無秩序な動きに対抗するもの」「円の大幅な過小評価を是正するための日本の断固たる市場・金融政策措置を強く支持する」と表明。通貨政策を統括する三村淳財務官は、この協調介入を「日米通貨同盟の完成形」と表現しています。
為替の動き(東京市場)
- 前日NY終値:157円台後半
- 東京朝方に急落し、一時155.20円(5月6日以来の安値)まで下落
- その後は156円台前半まで持ち直し、小動きで推移
市場では、今年の春の介入時には届かなかった「155円割れ」を今回は当局が実現できるかに関心が集まっています。急落局面では追加介入観測も浮上しましたが、SMBC日興証券のストラテジストは「介入かどうかは分からない」としつつ、積み上がっていた円売りポジションの巻き戻しが進んだ可能性も指摘しています。


チャート①:ドル円 日足(トレンドライン分析)。上昇チャネルの上限で反落し、155円台まで急落したのち反発している
協調介入は「特効薬」ではない
協調介入はこれまでの日本単独の介入よりも効果は大きいものの、円安の本質的な解決にはならない――というのが実態に近い見方です。
今回の協調介入の背景には、日米の金利差、日本のサービス収支赤字、対外直接投資の増加といった構造的な円売り要因があります。SMBC日興証券のストラテジストも「介入によって相場の方向感が変わったとは言い難い」とし、構造要因を踏まえると大幅な円高局面は想定しづらいと指摘しています。政府も年金積立金(GPIF)の運用方針見直しや新NISAへの国債組み入れ検討など、あの手この手を打ってきましたが、円安・金利上昇の流れそのものは変わりませんでした。
今後の焦点は、日銀による追加利上げのタイミングです。日銀は7月末の会合で政策金利を1%程度に据え置きましたが、植田総裁は「ビハインド・ザ・カーブにならないように政策運営していく」と発言。市場では9月または10月の会合での利上げ観測が強まっています。「秋も利上げが見送られると市場に思われた時点で、協調介入の効果は消える」との見方もあり、今後の日銀の判断こそが、今回の介入が本当に効いたかどうかを左右することになりそうです。今後の値動きから目が離せません。


チャート②:米ドル指数(DXY)日足。ドル円と同様の値動きを見せており、介入後は反落している
現地レポート:香港の両替所で起きている異変
円安の「本当の深刻さ」を物語る話を、香港の現地から入手しました。現地で外貨両替の窓口として有名なチョンキンマンション(重慶大厦)で、円の両替を断られるケースが増えているというのです。
先日も、香港の銀行口座に追加入金をしようと、日本円100万円分の現金を持ってチョンキンマンションを訪れた方が、両替そのものを断られたとのことです。
理由として考えられるのは、両替商側にとってのレート変動リスクです。円安がこれだけ急ピッチで進むと、レートを先読みして設定しても、あっという間に円安がさらに進んでしまい、両替商側が損失を抱えるおそれがあります。「円を受け取りたくない」と思われるほど、今の円の実力は落ちているということでしょう。
今回の協調介入で為替は一時的に155円台まで戻りましたが、現地の両替商がリスクを取ってまで円を受け取りたがらない状況は、介入だけでは簡単には変わらないはずです。海外に口座をお持ちの方、海外送金・両替を予定されている方は、レート変動リスクを踏まえた資金計画を立てておくことをおすすめします。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品・金融商品の勧誘を目的とするものではありません。為替相場に関する記載は記事公開時点の情報に基づくものであり、その後の変動により内容が変わる可能性があります。
出所:ロイター「東京外為市場・15時=ドル156円前半、2円超急落後に持ち直し 追加介入には警戒感」「焦点:米から再三の懸念、円安変わらず協調介入に 『次の一手』は日銀の早期利上げか」(いずれも2026年8月3日)












